推薦メッセージ

北原保雄さん

北原保雄さん

文学博士・筑波大学名誉教授(前筑波大学長)、ベストセラー『問題な日本語』著者であり、『明鏡国語辞典』(大修館書店)等多数の日本語辞典の編者。

耳で聴く読書の楽しさ

最近は、話し言葉が氾濫しています。テレビでもラジオでも話し言葉が飛び交っています。それに対して、書き言葉の世界は縮小しています。本や新聞を読まない人が増えています。 話し言葉はその場で即座に使われるものですから、使われる言葉は単調であり、間違いも多く含まれます。話の内容にも深さがありません。

正しく美しい言葉と豊かな教養を身につけるためには、読書がとても役立ちます。推敲された言葉で書かれた、内容のある本を読めば、言葉の力がつき、知識も教養も豊かになることは説明するまでもないでしょう。最近、読書の重要性が再認識され、小学校などでは10分間読書が盛んに行われています。

読書は、もちろん自分の目で読むのが基本ですが、プロの人の読むのを耳で聴く読書もすばらしいものです。目をつぶり、想像力を全開にして、耳から入ってくる言葉を聴くのです。本には挿し絵があって、それに理解が誘導されることがありますが、耳で聴く読書には言葉しかありません。洗練された言葉、深い内容の話をプロの朗読で聴くことができるのが、「物語シアター」です。

すばらしい試みだと思います。ご成功をお祈りしています。